フィラリア・ノミ・ダニの予防お忘れではありませんか?予防の時期とポイントを解説
春から秋は、蚊やノミ・ダニといった寄生虫が活発に動き出す季節です。これらの寄生虫は、ただの「かゆみ」や「不快感」だけでなく、命に関わる病気を引き起こすこともあります。中でも、フィラリア症は蚊が媒介する感染症で、犬や猫の心臓や肺に深刻なダメージを与える可能性があります。また、ノミやマダニが媒介する感染症には、人にも感染するものがあり、家族全体の健康にも影響することがあるのです。
大切な家族であるペットが健康に過ごすためには、予防がなにより大切です。今では月1回の投与でしっかり予防できる薬や、ノミ・ダニ・フィラリアを一度に対策できる便利な製品も登場しています。本記事では、フィラリア症やノミ・ダニがもたらすリスクと、効果的な予防方法についてわかりやすく解説します。
フィラリア症とは?
フィラリア症は、蚊によって媒介される寄生虫「犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)」が原因で起こる感染症です。この寄生虫は細長い糸のような形をしており、蚊に刺されることで体内に侵入し、最終的には心臓や肺動脈に寄生します。
フィラリアが心臓や肺にたどり着くと、血液の循環を妨げ、咳や疲れやすさ、体重減少といった症状が現れるようになります。進行すると、腹水や失神、最悪の場合には命にかかわる重篤な状態に陥ることもあります。
恐ろしいことに、感染初期にはほとんど症状が見られないため、飼い主が気づかないうちに病状が進行してしまうケースも少なくありません。
この病気は、かつては治療が難しく致死率も高いものでしたが、現在では予防薬の普及により防げる病気となっています。予防を徹底することで、大切な家族であるペットをフィラリア症から守ることが可能です。
ノミ・ダニがもたらす病気とは?
ノミやダニは、単なるかゆみの原因にとどまらず、動物や人にとって深刻な健康被害をもたらす病気の原因にもなります。ここでは、それぞれの寄生虫が媒介する主な病気をご紹介します。
ノミが引き起こす主な病気
①ノミアレルギー性皮膚炎(FAD)
ノミの唾液に含まれる物質に対するアレルギー反応で、強いかゆみや皮膚の炎症を引き起こします。わずか数匹のノミでも発症し、慢性的な皮膚トラブルに発展することもあります。
②瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)感染症
ノミが媒介する寄生虫の一種で、犬や猫が毛づくろい中にノミを飲み込むことで感染します。感染すると消化器症状や、肛門付近の違和感による「お尻歩き」が見られることがあります。
ダニが引き起こす主な病気
①重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
マダニが媒介するウイルス性疾患で、犬や猫だけでなく人にも感染する人獣共通感染症です。発熱、嘔吐、下痢、元気消失などが主な症状で、人の場合、特に高齢者や免疫力の低い方で重症化のリスクが高く、致死率も高いため注意が必要です。
②犬バベシア症
マダニが媒介する原虫感染症で、赤血球を破壊し、発熱、貧血、黄疸などを引き起こします。急激に症状が悪化することがあり、放置すると命にかかわることもあります。
③疥癬症(かいせんしょう)
「ヒゼンダニ」と呼ばれる皮膚に寄生するダニによって引き起こされる強いかゆみを伴う皮膚病です。特に耳、肘、腹部などにかさぶたや脱毛が見られ、感染力も強いため、ほかの動物や人にうつることもあります。
フィラリア、ノミ・ダニの予防方法
ノミやダニ、フィラリア症は、一度発症するとペットの健康に深刻な影響を与える可能性があります。しかし、これらの病気は事前の予防でほとんど防ぐことが可能です。
ノミやダニの予防には、首元に垂らすスポットタイプや、おやつのように与えられる経口タイプの駆虫薬があり、どちらも月に1回の使用が一般的です。
さらに、近年ではフィラリア・ノミ・マダニの予防をひとつでまとめて行える「オールインワンタイプ」の予防薬も登場しており、忙しい飼い主さんにとって心強い選択肢となっています。
ただし、動物の体質や持病によって使えない場合もあるため、使用前には必ず獣医師に相談しましょう。
また、フィラリア症の予防薬を始める際には、事前に血液検査が必要です。すでに感染している状態で投与すると重篤な副反応を引き起こす可能性があるため注意が必要です。地域や生活スタイルによっては、春から秋だけでなく通年予防が推奨されることもあります。ペットの健康を守るためにも、定期的な予防の継続を心がけましょう。
まとめ
フィラリア症やノミ・ダニがもたらす病気は、症状が進行するまで気づきにくく、いざ発症すると命に関わるケースも少なくありません。だからこそ、「何も症状がない今」こそが予防のチャンスです。月に1回の投薬や定期的なチェックを欠かさず行うことで、愛犬・愛猫の健康をしっかりと守ることができます。
また、最近ではフィラリア・ノミ・ダニを一度に予防できるオールインワンタイプの薬も登場し、忙しい飼い主さんでも手軽に予防管理ができるようになりました。動物たちは自分で体調の変化を訴えることができません。だからこそ、私たち飼い主が日頃から意識して健康を守ってあげることが何より大切です。
「うちの子は大丈夫」と思わずに、一度、当院で予防プランについてご相談ください。あなたの小さな一歩が、大きな安心につながります。